山崎豊子「ぼんち」を読む

山崎豊子著の「ぼんち」を読んだ。
以前、ドラマ化された「女系家族」の原作を読んだときも、山崎豊子の大阪の昔の商家の風俗が、実にリアリティを持って表現されていたのに感心したが、この作品はそれを上回る詳しさだ。
ズーッと以前ドラマは有ったような気もするが、これもまたドラマ化して欲しいと思う次第ではあるが、現代にはちょっと無理かも知れない。

時代は戦前の大阪、船場の老舗足袋問屋の放蕩息子が、家付き娘に婿養子の状態が2代続いたあと生まれ、祖母と母親の攻撃をかいくぐって女遊びにふける姿を描いている。
さりとて、女遊びに溺れるのではなく商売もそれなりにこなしていきながらも、成長してゆく過程を船場のしきたりや、特に花街特有の細かな風習などを交えて描写している。
どちらかというと、主人公はこの五代目河内屋喜兵衛である放蕩息子の喜久治というより、船場の風俗風習と言えるほど詳しく書いてある。

ぼんちとは、大阪で言うぼんぼん(お坊ちゃん)よりもまだ階級が上の、ええとこの子という意味に加え人間的才覚や魅力をそなえた男を指すらしい。らしいとしか言いようがない、というのもすでに戦後には存在しない文化環境であるから。
そんな時代にタイムスリップして、湯水のごとく金を使って遊ぶ放蕩息子の気分を味わうのも一興、女の怖さを思い知るのもまた勉強と、楽しく読ませていただきました。

さはさりながら、大阪の船場言葉どころか綺麗な大阪弁すら忘れ去られて、ちょっと下品ななまりある芸人のしゃべりが大阪弁だと思われてしまっているのを思うと、つくづく文化というのはその時代に咲いたあだ花だという思いを強くします。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック